「ホットワーク」のアトリエで輝く2つの太陽



「ホール」と呼ばれるホットワークの工房では、2つの太陽のような高温の炉から職人たちによってクリスタル種が取り出されます。溶けたクリスタルの温度は1450度に達します。これは太陽の表面温度の4分の1にあたるほどの高温。そのため真冬のモーゼル県であっても、サンルイの工房の室温は地中海の夏ほどになります。職人たちはむき出しの腕とともにクリスタルに向き合っています。



「熱を身体で感じているのです。するとまるで夏の日に陽光をたっぷり浴びたあとの、逞しくなったような不思議な感覚になります。日の光が私たちの身体のあちこちを照らすうちに、声は小さくなっていきます。どういうわけか、太陽は私たちを無口にするのです」。こう語っているのは、フランスの哲学者エマ・カレニーニ。彼女は太陽からもたらされる身体的な影響に着眼し、向日性の思想家、なかでもニーチェ、あるいは地中海の光から生まれた『真昼の思想』が原点にあるというカミュについて研究しています。彼女は、太陽からのエネルギーは古代からすべての者が享受できる賜物として存在し、私たちの生活はこの無尽蔵なエネルギーの影響下にあると考えています。はるか昔から公共の利益とみなされていながら、その一方でエネルギー資源の問題が深刻な今日においても、太陽がもたらす力は今なお人間の手で制御することができずにいるとも述べています。



「工房で働き始めたのは23歳の時でした」。こう語るのは、溶解炉整備士のクリストフ・エノーです。「臨時職員から始めた仕事だったのですが、いつの間にかクリスタルの光と、その温もりに魅了されてしまったのです」。それからというもの彼は20年以上、整備士として火の燃料とクリスタルの溶解を見守ってきました。彼はその注意深い観察がどのように、ある種の瞑想へと変わったかについて語ります。炉のなかのマグマの放つ光がすばらしく魅力的であること、その真っ赤な輝きが刻々と変化し、まるで炎か、海原に反射する太陽のきらめきのように見えること。





夜間や週末、工房がひっそりと静まる時に火の番をしている時間が、星々の時間の流れのように感じられること。あたかも古代の日時計が、時間ではなく、星から地上の人間の位置を示していたように。けれど私たちは太陽を基準とする時法を別の時法に変えたため、太陽系という、広大で流動的な宇宙における安心できる日々の拠りどころを失ってしまったのです。クリスタル職人は、時計ではなく、熱を読み取るようになりました。溶解したクリスタルの色から温度を感知するのです。職人のしぐさにリズムを与えるのは、その色にほかなりません。

 

「天頂に来ている太陽のように、光が白熱すればするほど素材は高温になります。反対に、夕暮れに近づく太陽のように赤みを増せば増すほど、徐々に温度が下がっていっているのです」。そう説明してくれたのは、工房の製造責任者のトリスタン・ラダイク。「クリスタルをここまで深く理解することは、熟練した職人でなければ難しいでしょう」。クリスタル職人でもある彼は次のように続けます。「そのためには長年にわたる観察とある種の忍耐が必要なのです」。



こうしてクリスタル職人と素材が無言の対話を交わし続けた結果、職人たちは往々にして、“素材は生きている”と感じるようになります。ぴくぴくと鼓動したり、噴出したり、しおれたりするのだ、と。液状のクリスタル種を炉から「巻き取り」、金属の竿の先にミニチュアの太陽のように刺したあと、職人たちはそこに息を吹き込み、成形していきます。竿から竿へと移されていくクリスタルはとろりと流れるように動き、その様は陽光を煮詰めた蜜のよう。炉のまわりで軌道を描く、たくさんの火の玉のようでもあります。通りすがりの者には理解できない職人たちの動きはさながら衛星のダンス。それでも溶けたクリスタルの創造的なエネルギーは分け隔てなく、誰にでも作用します。太陽と同じように、生命と変化の源なのです。この素材の力は、何世紀にもわたってクリスタル職人と旅人たちを虜にしてきました。旅人たちは、太陽に近づくという見果てぬ夢を見て、遠方から、時には地球の裏側からこの地にやってくるのです。

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